今回の日本目録規則(NCR2018)は、まず冒頭に、第31期(2007)から2018年度までの(JLA)目録委員会の活動報告が掲載されています。
この中には、自分も参加した会合(2010年の全国図書館大会(奈良大会))等もあったりして、本当に長い間、委員、その他のみなさんが大変な苦労をして今回のNCRが完成したコトが分かります。
で、そこに書かれているように、NCR2018は、検討の当初から、1998年に公表されたFRBRや、それを基盤とした2010年のRDA(昔でいう英米目録規則)への対応が明言され、それらの作業に多くの労力がさかれてきました。
しかし、上記のようにNCR2018の完成までに時間がかかっている間に、FRBRのファミリィであるFRAD(2009)やFRSAD(2011)が公表され、さらには、その3つをまとめる概念モデルであるIFLA-LRM(当初の名称は、FRBR-LRM。LRMはLibrary Reference Modelの略)が2017年に公表されました。そして、この統合により、それ以前のモデルにかなりの(小さくない)変更が加えられています。
つまり、せっかくFRBR(及びFRAD、FRSAD)を基盤にNCRを作ってきたのに、完成してみたら、それらが(結構違う)次のバージョンになってしまっていたという訳です。しかも、NCR2018が相互運用性の担保を掲げていたRDAの方は、すでにIFLA-LRMに対応を始めていという……
もちろん、このことは、活動報告の最後にも言及されていますが、せっかくNCR2018が苦労の末、完成したのに、どうなるのでしょう?
といったあたりに問題意識を持ちつつ、さらに読み進んで行きたいと思います。
なお、IFLA-LRMについては、参考文献も含め、和中先生によるこのページを、さらに、慶應義塾大学の木村麻衣子先生によるスライド(こちらとこちら)が非常に勉強になります!
【蛇足】
この活動報告の中で言及されている資料には、Webで公開されているモノも多いので、URLも一緒に掲載しておいていただければ、ただでさえ、分かりにくいと評判(?)の今回のNCRについて、後学のためによかったと思うのですが……
2019年1月4日金曜日
【NCR 2018】「目録委員会報告」
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