Amazon.co.jp: 億男 電子書籍: 川村元気: Kindleストア
なにかと話題の著者ですし、珍しく前作の『世界から猫が消えたなら』も読んでいましたし、自分が最もよく見る雑誌である「BRUTUS」に連載していたのも知っていたので、かなり気にはなっていたのですが、まぁ、いつかは分からないそのウチに……と思っていたトコロ、何気なくあらすじを見ると、主人公が図書館司書とあったので、そうなると、突如として、ハナシが変わってきます。
で、さっそく読んでみたのですが、どうも主人公は、毎日、フルタイムで働いているような描写等から、(公共)図書館の正規職員のように思えるのですが、特殊事情があるとはいえ、堂々と副業をしていたり(というか、副業先の寮に住んでいる)、全体的に、なんか不思議な感じ。
で、読み進めていっても、これといって主人公が図書館司書である理由もあまり感じられないので、残念ではありますが、相変わらず地味で目立たない仕事の記号として"司書"が使われているんだなぁ……と思っていると、後半、主人公の人生を左右する、かなり重要な局面に、図書館司書(というか、図書館のカウンタにいるヒト)としての必然性が出てきます。
ただ、それがまた、「読書の秘密」の観点から、かなりどうかという……
もちろん、作品の本筋はそういったトコロにないのでヤボな指摘だとは十分分かっていますし、「読書の秘密」というと、主に第三者への提供が問題になりますが、それにしても、「耳をすませば」の頃から、結局、「利用者の読書の秘密にアクセスできてしまう特権を、悪意はないにせよ、自分の興味のために安易に使ってしまう」という一般の図書館員のイメージって何も変わっていないんだなぁと思うと、少し悲しくなります。
まぁ、こんなコトを言っていても、また、「図書館員てメンドくさいな」と思われるのがオチですが、肝心の小説のテーマである「お金と幸せ」についても、ほぼ同時期に読んだ『投資家が「お金」よりも大切にしていること』の方が、自分にとってはずっと刺激的でした(こちらは小説ではないですが)。
ただ、帯にもあったとおり、読了後、確かにムスメを抱きしめたくなります。
同じく、かなりイヤがられましたが……
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