2016年3月3日木曜日

「司書の書誌」第13回 司書の意義

“Today, Apple is going to reinvent the phone.”
(本日、われわれは、電話を再発明(再定義)します)

これは、2007年Macworldで、スティーブ・ジョブスiPhoneを発表する際に使った、有名なフレーズです。

みなさんご存知のとおり、その後、iPhoneをはじめとしたスマートフォンは瞬く間に世界中に普及し、我々の生活に欠かせないものになりました。

インターネットの発展によって電話が”再定義”される必要があったように、同じくインターネットの発展によって、今、図書館も”再定義”される時期にきているような気がします。

それは、もはや、図書館が、その名にある図書(本)という形態にとどまらず、ネットワーク上の電子資料を含めた「情報全般」を扱うところになっているからです。
(その一端が、たとえば、奈良県立図書情報館という名前に現れています)

では、”再定義された図書館”とは、一体、どんなものでしょう?
……いや、その前に、図書館を定義しなければなりません(笑)。

京都の料亭菊乃井の3代目亭主で、和食のユネスコ無形文化財選定にも大きく尽力された村田吉弘さんは、常々、

「料亭は飯屋だ」

とおっしゃっています。

われわれが想起する料亭の佇まい(しかも、菊乃井ならなおさら!)からすると、一見、自らを卑下しているようにも見えますが、一方で、このシンプルな定義の中に、非常に強い自負と、相当の覚悟も感じます。

では、図書館は、なんでしょう?

ボクは、村田さん的に言えば、

「図書館は本箱だ」

と思います。

従来の図書館自体は、(今は、それ以外のものも多くあるとはいえ)本来的には本を入れておく”箱”に過ぎません。

しかし、そこに職員や司書がいることによって、タダの本箱ではなく、利用者にとって必要なモノ、求めているモノ、そして、時には全く思いもよらなかったものまで取り出される、「魔法の本箱」となるのです。

社会の変化に伴い、図書館の役割も変わってきますし、変化しなければなりません。
よく言われるコトですが、最も強いものではなく、最も変化したものが生き残るのです。

「魔法の本箱」は、今後、どんな再定義を受けるのでしょうか?

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