2016年3月31日木曜日

「司書の書誌」第17回 司書の疑問

少し前になりますが、ある人から、こんな疑問を投げかけられました。

「もし、今、この瞬間に、全ての公共図書館がなくなったら、どうなるんですか?」

エラいモノで、ハッキリ言葉にはなっていないのに、その質問自体から、その発言者が、「別に図書館がなくなっても、いいんじゃない?」と思っていることがありありと伝わってきます(笑)。

あたりまえかもしれませんが、こういった発言は、やはり、実際に図書館をあまり使ったコトがない方から出ると思います。

残念なコトですが、「自分は、図書館に行ったコト(利用したコト)がない」という人は、実際には、かなり多いのが実情です。

そして、さらに驚きなのが、図書館のスタッフの中にも、自分が勤めるまでは図書館にほとんど行ってないというヒトが、おそらく、みなさんが想像される以上に多いコトです。

……何を隠そう、かく言う自分もその一人でした(苦笑)。

ただ、自分の場合は、最終的に司書になったコトからもお分かりのとおり、本や読書に興味がなかった訳ではなく(むしろ、真逆です)、図書館に行って本を借りるという方法ではなく、学生時代は、読みたい本は全て買って読んでいたのです(そういうと非常に裕福だったように聞こえるかもしれませんが、大学の寮に住んでいたため、奨学金のほとんどすべてを本代にあてられていたのです。まさに、「素晴らしい日々」でした(笑))。

なので、あまり自分では利用しなくても、本を扱う図書館は好きでしたし(司書の資格をとろうと思ったくらい)、その存在意義は、自分なりに十分感じていました。

このように、たとえ自分は図書館を使ってはいなくても、その必要性を強く認めているヒト達がいる一方、あるトコロからは、冒頭のような発言が聞かれます。

もし、今、全ての公共図書館がなくなったら、どうなるのか?

おそらく、社会全体を見れば、たちまちは、特に目に見えた変化はないように思います。
少なくとも、全てのコンビニがなくなるのと比べると、影響は少ないでしょう。

では、図書館は必要ないのでしょうか?

少し前に書きましたが、ドラッカーが、ある仕事が必要かどうかを見分ける方法として、まず、一旦やめてみて、その時に、何も起こらなければ、その仕事は必要ないという趣旨の発言をしていますが、まさに、そういうコトだと思います。

実際、日本全国で、今でも「自分の街に図書館を!」という運動があちこちで起こるコトを見ると、やはり、短期的にはともかく、中長期的に見れば、まだまだ人々には、自分の身の回りに図書館が欲しいという欲求が強くあると思いますし、それは、個人的にはとてもウレシいコトです。

しかし、果たして、府県立の場合は、どうでしょう?

身の回りに、普段使いができる市町村の図書館があって、なお、それとは別の図書館が必要だとすれば、個人的には、そのポイントは、前回書いた「偏在」をし、自分たちが直接受けるサービスの後ろ盾になるコトなのかなと思います。

果たして、その機能を全うするコトができるのか?

ともかく、期せずして、そんなコトを考える仕事に就きそうなので、来年度は、この手の話題が増えるかもです(笑)。

(そして、まさに、こんな記事が!)

CA1871 - 研究文献レビュー:都道府県立図書館論 / 田村俊作 | カレントアウェアネス・ポータル

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