2015年7月26日日曜日

図書館未設置市町村

珍しく(というか、10年以上ブログを書いていて初めて(笑))、5つ以上のはてブがついた前回の続き。

当館のサービス計画について、引き続き館内議論が続いているのですが、その中で、久しぶりに「図書館未設置市町村(便宜的に、市も入れています)の解消」というコトバを聞きました。

ボクが就職した当時(1990年代後期)には、盛んにこのコトバを耳にしたのですが、最近は、当時に比べると、あまり聞かれなくなったように思います。

それは、「市町村合併」で、見かけ上の設置率が上がったとか、長引く不況で、自治体のリソースの配分先として、さらに図書館の優先度が下がったとか、いろいろ要因はあると思います。

しかし、それと同時に、約15年前の新館の建設と同時に整備された、ソフト及びハード両面からの相互貸借システムによる市町村間の相互協力(と、以前からある、いわゆる府県立図書の協力貸出)で、ある程度の(あくまでも、当時に比べてですが)資料要求の充足が達成されたコトもあるかもしれません。

それはそれで、当初の目的どおりの成果がを見せたという点で、非常に喜ばしいコトです。

ただ、当時からも同時に聞かれるのが、

「市町村同士の相互協力や府県立からの支援が行われすぎると、未設置市町村の当局サイドで、『本が足りてるなら、いいじゃないか』となり、いつまでたっても図書館関係の予算がつかず、当市町村が自立ができない(つまり、あまり支援をするべきではない)」

という意見。

う〜む……

確かに、そのメカニズム自体は、そのとおりだと思います。

ただ、図書館の本来の目的が、利用者の求める本(情報)を、可能な限り迅速に提供するコトだと考えると、どうでしょう?

もちろん、できないのならば仕方ないですが、その余地があるにもかかわらず(言うまでもなく、その背景には、他の市町村の多大な協力と使命感がありますが)、達成の可否がハッキリしないコトのために、結果として、現在の利用者の要求にある種の制限を加えるコトは、正しいコトなのでしょうか?

未設置市町村の利用者としては、手元に届く本に貼られているバーコードが、一体、どこの自治体のモノかまでは、あまり気にされていないと思います。

大切なのは、読みたい本(必要な情報)が、入手できるコト。

とすれば、それらの市町村に住む利用者の不便さを少しでも緩和するために、さらに支援を強化するという方向もあるのではないでしょうか?

……ただ、近くに図書館がない場合、すぐに読みたい本が読めない等、分かりやすい不便さはもちろん、図書館でないと提供できないサービスがあるのも事実です(たとえば、国会図書館関係)。

なので、現在の利用者には充分な資料提供の支援をしつつ、一方で、それとは別に、当該市町村に図書館建設を進めるように働きかけるというのが、理想的なのでしょう。

ただ、ここで難しいのが、前回にも書いたように、最も大切な当事者が特に求めていないモノを、ある種、こちらから押し付けても意味がないというコト。

そういった意味で、なによりも、図書館建設の原資を払う利用者の強い要望ありきなのですが、充分な図書館サービスがあった土地から移ってきた住民なら、

「ここの図書館サービスがは不十分だ。もっと充実させろ!」

と言うコトが可能でも(実際、そんなハナシがあるやにも聞きます)、ずっと未設置市町村に住んでいて、「図書館」というモノを体験したコトがなければ、そもそも欲しい施設のイメージもできず、求めるような声もあげられません。

どうしたらよいのでしょう……?

全く、ハナシの行き先にアテはありませんが(笑)、続きます。

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