少し前になるのでハッキリとは覚えていないのですが、あるラーメン屋さんに行くと、店内が、それぞれのお客さんのスペースに細かく区切られているだけでなく、店員さんとの直接の接触もしなくても済むように設計されていて、店員さんの丁寧なお辞儀は見えるのに、絶妙にお互いの顔が見えないというお店がありました(と言っても、なかなかウマくイメージができないと思いますが(笑))。
現代人のニーズをウマく取り入れているのかもしれませんが、個人的には、全く無人ではないのにお互いの顔が見えないというその微妙な感覚が、少々気持ち悪く感じたように思います(まぁ、慣れの問題かもしれませんが)。
図書館でも、だいぶ下火になったかもしれませんが、少し前は「自動貸出機」の是非について、いろいろ議論がありました。
カウンタでの有人の(?)貸出こそ、利用動向を知る大切な業務だという意見はかなり強かったように思いますが、利用者の中には、このラーメン屋さんではないですが、なるべくスタッフとのリアルな接触を避けたいという方が、割といらっしゃるように思います(年齢層によるのかもしれませんが)。
また、自分が借りた本を(少なくとも、その場では)知られたくないというキモチも、十分分かります。
こちらも少し前に、ある友人としゃべっていると、
「一般的に『悪い』と言われるコトを諫めるコトバが言い続けられるのは、それを言い続けなければ、ヒトは自然とそれをしてしまうからだ」
というハナシになりました。
言ってみれば、かなりの「性悪説」な訳ですが、確かに思いあたるコトもあります(当時のボクなら、お酒とか、タバコとか)。
そして、図書館におけるプライバシィの保護についても、同様のコトが言えるように思います。
もし、他人のプライバシィ保護が国民全体に徹底され、あまりにも自明のことであるならば、これほど、プライバシィの保護が声高に言われるコトはないと思います。
それは、よほど気をつけていないと、ヒトは、他人のプライバシィを侵す傾向が強いコトの裏返しではないかと思うのです。
図書館に限ってみても、確かに、他の人がどんな本を読んでいるかというのは、あるヒトにとっては、非常に興味深い事柄だと思います。
それは、自分が知らない、もっと面白い本があるのではないかというパイオニア精神の現れである場合もあるでしょうが、その本から、その本を読んでいるヒトの内面を推測しようという、単なるのぞき見的なパパラッチ精神の現れである場合もあるでしょう。
いずれにしても、他人の読んでいる本というのは、非常に抗しがたい魅力があるだけに、強く諫めなければ、つい、ヒトはその禁を犯してしまいがちだと思います。
昔、まだ働き始めた頃、仕事が終わった後に、知り合いが勤める図書館で本を借りると、
「何を借りたの?」
と、耳を疑うくらい普通に聞かれてビックリした記憶があります(苦笑)。
まぁ、知り合いの気安さもあるでしょうが、こちらとしては、だからこそかえって知られたくないという面もある訳です。
まぁ、世の中には、ホントにいろいろなヒトがいますから(カウンタに出ていらっしゃる方は、ここで大きく肯かれるでしょう(笑))、中には、あえて職員に、
「私はこんな本を読んでいる(ちょっとした)人間なんだ」
と喧伝したがるタイプの人もいるかも知れませんし(意外と多い?)、そこまでいかなくても、自分の読書傾向を職員に知ってもらい、アドバイスをして欲しいというヒトなら、もっといるかもしれません。
しかし、大半のヒト(特に本好き)にとっては、どんな本を読んでいるかというのは、やはり、「究極の個人情報」です。
ともすれば、うっかり侵しがちになってしまうので、本当に気をつけなければなと思うのです。
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