Amazonの定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」が、提供出版社に断りなく、コンテンツの一部(出版社によっては全部)を削除していた(Unlimitedのラインナップからはずしていた)コトが分かり、(少なくとも、我々の界隈では)大きな話題となっています。
この件については、Amazonと提供出版社の双方に言い分があると思いますが、それはともかく、それだけ簡単に、かつ、大量のコンテンツに一気に変更があるのは、とりもなおさず、ユーザが一番混乱しますし、大きな迷惑を被ります(被りました(笑))。
考えてみれば、図書館の本も、基本的に定額(というか、無料)の読み放題サービスと言えます。
もちろん、Kindle Unlimitedと比べると、同じ本を同時に何人かで借りるコトはできませんし、(わざわざ)図書館まで行く必要があります。
一方、貸出上限はAmazonにもありますし(一時に10冊)、それこそ図書館では、ある本が急に読めなくなったり、ある特定の出版社の本が突然、一斉になくなったりというコトはありません。
(ただ、書庫スペースの関係等から除籍される本があったり、ごくまれに、不幸な事件が起こったりはしますが)
Kindle Unlimitedが登場した時には、これで図書館も必要なくなるのではという論調もありましたが、なかなか、そうは簡単にいきません。
それは、言うまでもないコトですが、「営利を目的とするかどうか」が、両者の最も大きい違いとしてあるからです。
もちろん、営利追求を否定するつもりは全くありません。
その目的のお陰で、ボクを含めた多くのヒトが、(いろんな意味で)喜ぶ、楽しめるコンテンツが提供されるからです。
ただ、前にも書いたように、売られている本には、純然たる”商品”としての面と、公共に資する”文化財”としての面が、分かちがたく混在しています。
公共図書館は、主に後者の面を考慮して制度設計をしていけばよいですが、Kindle Unlimitedをはじめとした電子書籍発行企業はもちろん、書店や出版社等、売られている本を生業をしている方達は、まずは、前者の面を安定して整えていかないといけませんし、もし、それが十分にできなければ、後者の面について、考える余地がなくなります。
そうすると、前者の面を構成する「企業としての判断」が、なによりも優先される場面があるかもしれません。
いずれにしても、エンドユーザから対価をもらってサービスを提供しているという点では、図書館も企業も全く同じ。
今回の件は、改めて、「何も最も重視するか」を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
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