先日、利用者の方から(強目の)ご意見をいただきました。
当館は、府内の図書館等に自館の本を運び、その図書館を通じて利用者の方に本をお貸ししている訳ですが、その利用者が、ネットを通じてその本の取り寄せを申し込んでからその本が手元に届くまで、あまりに時間がかかり過ぎる、某巨大ネット書店で本を注文すれば翌日に届くこのネット社会で、一体、どういうコトだ、という訳です。
お聞きすると、まぁ、いろいろ不幸な偶然が重なり(得てして、この手のご意見をいただく時は、そういった場合が多いですが)、利用者の方のおっしゃるコトももっともでしたし、お気持ちもよく分かります。
ただ、あとで考えると、自分達のコトを棚に上げる訳ではないですが、やはり、民間のサーヴィスと公共サーヴィスを無条件に比べるのは、いささかフェアではないかなと思います。
まずは、そのサーヴィスを受ける際の対価、つまり、料金です。
「図書館の本は無料で読める」という言い方をしますが、もちろん、これは正確ではありません。
本屋さんやネットショップのように、その場での支払いはありませんが、「税金」という形で、(事前に)対価を払っています。
しかし、税金の中には、図書館以外にも、日々の生活にかかる様々な公共サーヴィスの費用(医療、教育、交通、安全……)が含まれており、正確には算出できませんが、こと図書館の、その本を利用するために使われている金額は、その内のごくわずかになります。
一方、ネットショップに頼めば、本の代金プラスある一定の購入額以下の場合は郵送費もかかります。
ただ、この場合は、図書館とは違って本を所有できますので、やはり、一概に図書館と比べる訳にもいきません。しかし、そうは言っても、図書館から本を取り寄せるよりは、多くの料金を払っているの間違いないでしょう。
「公共サーヴィスは安い料金しか払っていない。だから、サーヴィスの質が低くてもいい」という訳ではありませんし、もしかしたら、そういった意識が見え隠れするあたりが、昨今の民間委託への動きにつながっているのかもしれません。
ただ、公共サーヴィスの目的が、市場外の経済を担い、まずは、最低限でも、くまなくサーヴィスを提供するコトである以上、それに応じた対価を払い、(対価さえ払えれば)無制限に最高のサーヴィスを受けられる民間と同様に比較するのは、やはり、いささか無理があるのではないでしょうか。
「高い税金を払っているのに!」というお気持ちや、類似の民間サーヴィスと比較したくなる気持ちはよく分かりますが、そもそも、趣旨や目的が違うことをご理解いただけるとありがたいのですが……
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